家族がふえる話・その後

むかえてわかった個性

2021年の7月13日、無事到着された。はじめての週末をむかえる今日までだけでも、とてもたくさんの発見があった。こんなに違うの!!というくらい、ふたりは違う。

トイレ

まずトイレの作法からして違った。
ゼンちゃんは準備段階からしっかり砂を掘るし、後始末もめちゃくちゃきっちり砂で隠す。
ユーリさんは何もしない。砂の上で用を足して、足したらそのまま。

調べてみたら、これは結構派閥が分かれるらしい。
ゼンしか知らず、猫=ゼンだと思っていたことが明らかになった。

遊び方

これは実に苦労して「ふたりともが似たような行動をした」ところを撮影したもの(笑)
ゼンちゃんは以前にも書いたとおり非常にのんびり遊ぶ。スロースターターで、こだわりが強い。人と一緒でないと遊ばない。ふってもらうおもちゃが大好き。これは、子猫のころから変わらない。
ユーリさんは一瞬でエンジンがかかり、走る・飛ぶ・登る・殴る・蹴ると非常に多彩なコマンドを搭載している。人がふるおもちゃでも遊ぶが、ふられていない棒にも果敢に喧嘩をうり、プロレスを行っている。

好きな場所

これも違う。違っていていいんだが。

ゼンちゃんは高いところはちょっと苦手。ハンモック・透明ボウルといったような、浮いているものに乗ることは彼にとって非常にハードルが高い。特に人間の足元がスキ。

ユーリさんも人のそばはスキだが、高ければ高いほどいいらしい。ハンモックや透明ボウルは大好物で、いつもそこで寝る。人間が席についているのに、自分が床にいるのは我慢ならないらしく、めちゃくちゃキレる。

ゼンちゃんは、テーブルに登れるまでには非常に時間がかかった。だから、テーブルの上のものを片付け、ケーブルなどの処理を猫さん用にととのえるまでの猶予があったんだが、彼が生後半年以上かかったそれをユーリさんは生後3ヶ月弱でこなしている。彼女が最初に来ていたら、私たちは多分悲鳴を上げていたと思う。ついでにいうと、私の仕事用のデスクは猫さん仕様になっていないので、めちゃくちゃヒヤヒヤしている。

甘え方

これが一番違っている。どのくらい違うかというと、私たちは心から「ゼンちゃんって本当に甘えん坊さんだなぁ♡」と思っていたのだが、ユーリさんを迎えてから「ゼンちゃんって甘えない方だったりする…??」と思うようになった。

ゼンちゃんは撫でたり抱っこがキライで、そういう猫さんは多いと聞いている。
だけれども人のそばにぴったりくっついて、離れるのがいやで、毎日人の上でふみふみをするのが日課って、結構甘えん坊な方だと思っていた。もうちょっとドライな子もいいよねなんて話をしていたくらい。

また、ゼンちゃんは私がパソコンを使うと、その手もぺちぺちしたいし、キーボードの上にはすわりたいし、ディスプレイは自分が一番目の前で見たい。

まず間違いなく作業は不可能(このときは配信が見られなかった)

これを「すみません。どけていただけますか?」と、それこそ10ヶ月繰り返して、近頃ようやく人の横やノートパソコンの後ろからディスプレイ越しに人間を監視するスタイルに切り替え始めたところだ。この件に関しては私も、そしてゼンちゃんも、達成感を得ている。

お互い苦労をしてベストポジションを得た

一方ユーリさんはまず抱っこや撫でられるのがまあまあスキで、かつ、人の体に触れるのがスキだ。しっぽまで巻きつけて喉を鳴らして、人間の手があいていたらそこに自分の手を載せ、寝る。膝、普通に乗る。

そしてパソコンを使う人間との付き合いについては天才的な才能があった。「パソコンを使っている人のじゃまにならず最大限近くにいるには」ということをあっという間に学習した。簡単に言うとキーボードやマウス、トラックパッドには触れず、じゃれつかず、近辺でじっとしている、ということなんだけど、あっさりベストポジションを見つけてしまった。

トラックパッドが普通に使える
キーボードには触れない。手の振動にも耐え、じゃれない。厳しい目で私の文章をチェックしている

これは完全に私たちの想定を超えていて、ちょっと戸惑っている。

実感したこと

これらの違いを踏まえて、実感したことがある。

相手にわかる行動は伝わりやすい

変な話、私が人間だからこそ、ユーリさんの行動のほうが「わかりやすい」。なぜなら、都合がいいから。違いがないから。基準が同じだから。

ゼンちゃんはナデナデも抱っこもキライだが、自分は愛情を感じると撫でたり抱っこをしたくなる。だからお互いが快適でいるためにはいろいろと調整が必要で、そのおおもとには「違い」が存在する。

当然の話しながら、人間同士であっても、わかってほしい・伝えたいなら、相手への理解や、理解をする姿勢が必要だし、「これが俺のスタンスだから」「私はこういう人だから」をかたくなに大事にしすぎていると、伝えるという側面においては時間がかかってしまうんだな。と、改めて思ってしまった。

もしこれが、二人同時に初対面を迎えていたら、甘え上手なほうにかまってしまったかもしれない。それくらい、理解の必要がない同じ基準のものは伝わりやすい。

違っても伝わる

違うからといって悲観することもないんだな、とも思った。私個人はわりと、人間関係において、違いが大きいといったんそこでシャットアウトしてしまう。けれども私たちとゼンちゃんは10ヶ月の間、コミュニケーションをとってきた。しかも、言葉を使わずに。その結果として今うまくいっていることもたくさんあるということなので、それは素晴らしいことだとも思える。

むしろこうして違いがわかって一層、ゼンちゃんの不器用なところがかえって可愛く、時間をかけて関係を築くって何かとすごいな、とも思っている。

猫さんに教えてもらうことすごいあるなあ。

愛情をもって育てていただいた

最後の紹介になったけれども、今回もお譲りいただいた方には本当にお世話になった。
愛情をもって育てていただいているからこそ、ゼンもユーリも基本的に、臆病ではあっても怯えはせず、人間を信じてくれているんだと思う。ありがたいことです。

そもそもゼンはおちちをうまく飲めずにいたわけだから、もしも彼がこの家の生まれでなく自然のなかで生まれていたとかいう状態であれば、育つことがなかったかもしれない。出会うはずがなかった命かもしれない。もうそれだけで感謝しかない。

ユーリのときには、通常よりも長い期間預かっていただいた。ユーリはご飯を選り好みした時期があって、けれども食べることが大事な時期だったので、本当に手をかけて対応していただいた。おかげさまで、ユーリの体調はとても安定していて、我が家にきてからまだ一度もお腹を壊していないし、よく食べてくれている。

ゼンのときにはなかったんだけど、母子手帳を今は全員に渡しているのだと。
その母子手帳の画像が上に掲載したもので、手作りの素晴らしいものだった。
写真はちゃんと現像して、丸く手作業で切り抜いてあって、生まれてからおうちに行くまでの間のことをコメントしてくれている。ほんとにお母さんのアルバムみたいだ。

これを全員分やっていることを想像したら…。私だったら泣いてしまうなあ。

ねこpostが続いているので、次回はまた自分の話でもしよう。

Profile

Xiuca

神奈川県で夫・ねこ・ねこと暮らす38歳。

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